移住者の声

 


萩尾 征司さん

伊勢屋料理長

雲仙市小浜町

北九州市出身。東京の寿司店で和食料理人として腕を磨いた後、カナダで和食レストランの指導役などを歴任。北九州市に帰郷してからは大手飲食チェーンで料理人として従事してきた。

―小浜町に来たきっかけは?
 伊勢屋のリニューアルに合わせて「料理を一新したい」と、声をかけていただいた。はじめは手伝いだけのつもりで、移住するなんて考えてもいなかった。

―なぜ移住を決めたのですか?
 2019年秋、最初に小浜を訪れた時、商店街にはまったく人がおらず、夜は出歩く観光客もいない。「こんなところで生活できるのだろうか」というのが第一印象だった。しかし、2度3度と足を運ぶうちに、いつでも温泉に入れるし、食べ物もおいしいという、生活する上でとても恵まれた環境という点が見えてきた。加えて、観光客がいないという現状が、逆に「何とか活性化してやろう」とモチベーションに変わった。

―移住する上で重要視したことは何ですか?
 もちろん住居。幸い、職場に近くて間取りも申し分ない物件が見つかった。雲仙市やまちづくり株式会社と相談しながら、移住者向け空き家改修事業を活用して入居前にリフォームもしてもらった。

―具体的にどこを改修しましたか?
 古い物件だったので、床の張り替えやトイレを新しくしてもらった。ふすまで仕切られていた大部屋を壁で仕切って2部屋に改修。そのほか細かな部分まで要望には応えてもらった。

―実際に住んでみてどうですか?
 まもなく2年になるが、とても満足している。人が生きる上で大切な「衣・食・住」のうち、食も住も申し分ない。住居の1階部分は、みんなが集まるようなスペースに改修しようと思う。テーブルやいす、カウンターなどすべて手作りでバーみたいにできればなと考えている。少しずつやるのも、また楽しみのひとつ。

―これからの夢などを教えてください?
 人通りもコロナ禍とは言え、初めて来た時よりは増えてきているのではと感じている。このまちは「のびしろ」だらけ。多くの人に食と健康を提供できる可能性を秘めている。今回、自分が移住するにあたって、物件探しの仲介をしてもらったり、事前に住居の改修を要望できたりと大変助かった。この仕組みを利用して、もっと多くの開業者が来てくれたらいいなと思う。今は真っ暗な小浜の夜だが、小さな店舗でもいいのでやる気ある開業者が集まれば、街明かりは増えていく。時間は掛かるだろうが、少しずつでもいい、このまちに光を灯していきたい。

原川慎一郎さん

レストラン「BEARD」オーナー

雲仙市小浜町
 
東京のオーガニックレストランで、地方から取り寄せた野菜を使い、素材に合わせた料理を振る舞ってきた生粋の料理人。全国の産地を訪ね歩く中、雲仙の野菜と出合った。
 
―雲仙市を知ったきっかけは?
 東京の店に(タネトオーナーの)奥津爾さんが来て、「雲仙で種を継ぎながら伝統野菜を守っている農家がいる」と、岩崎政利さんのことを教えてもらった。2018年の秋ごろ、店のスタッフとともに岩崎さんの畑を訪ね、その野菜の力強さ、味わい深さに魅了された。
 
―移住を決断したのは?
 岩崎さんの野菜を店で取り扱うようになってから、種継ぎ野菜の生命力には驚かされるばかり。こんなおいしい野菜が採れる土地のもっと近くで料理したいと思ったから。2020年12月に小浜町に引っ越し、翌年1月に新店舗を構えました。
―移住するにあたり困ったことはありましたか?
 店舗物件と同時に、自分が暮らす家探しもしなければならない。そう何度も足を運べなかったので、市やまちづくり株式会社の人たちが1日で多くの物件を回れるように調整してくれた。自分で探す手間が省けて非常にありがたかった。
 
―まちづくり株式会社の特徴の一つである「移住前リフォーム」は活用しましたか?
 古くなっていた床のフローリングを張り替えてもらい、風呂やトイレを改修した。空き家バンクなどの写真だけでは分からない部分も多く、実際に見て気付くことも多い。入居前に要望に応えてもらえるのは、いいシステムだと感じた。
 
―システムの改善点などがあれば教えてください。
 始まったばかりのサービスだからだと思うが、市に相談していいのか、まちづくり株式会社に言うべきなのかなど、組織系統が分かりにくい場面があった。移住を呼び込むには、仲介役が重要で、どれだけ動けるかにかかっている。大家さんやリフォーム業者、そして移住希望者をもっとスムーズにつなげられるようになれば、大きな可能性を秘めた取り組みだと思う。
 
―小浜町の印象をお聞かせください。
 住民みんなが、外から来た人にやさしい。野菜はもちろん、湧き水も豊富。日々の温泉も楽しみの一つ。地域の人たちと連携して、いろんな活動をやっていきたい。ここはそういう土壌がある、とても暮らしやすいまちだと感じている。